人類
降下する鳥
一直線に
向かうは知らず 休むことも知らず
ついに日差しを貫いた
すり減るこの身の
1センチ
長旅を続け
砂を運び
地理の上を汚し
とうとう言葉も見つからず
浅瀬の波が束になる
重なっては消え
溢れる思考は薄手のまま
ひとつとして一点には留まらず
限りないものを讃え
過ぎ去ったものを針の回転に変えて
そうしてなんとかやっている
けれどもこれらは限りある
両手で数えきれないものが増え
方々に伸びる遠方の土地で
誰も知らぬうちに埋め立てられる
もうじき観念を
もうじきにいたします
ふ と我に帰るとき
曖昧なものの正体に気づき
一人 恐れたところでもう遅い
写し出される回転の
古い思い出をしまい込んだ
きっと眠るときは
ここで終いに
春まで
私と春はここまでです
あとはさようなら
苦虫を潰したようにしか笑えない
それでも大事にとっておきたいことがたくさんあって
大切なものを大切にするために走る
この街の天上はうらめしいほどに晴れ渡る
そうして両脚がほつれ
ぐらりと前に倒れ
そこで初めて
地面の音を聞く
ごおん
ぐらん
どごん
吉日来たる日
忘れ物をしたことも忘れ
新幹線の窓から古巣を見つめる
会おうね
またね
さようなら
過ぎていく景色はどこも同じに見えるから
さみしくなって 私はあなたに電話をかける
220204
カレンダーの染みが気になってしょうがないな
街路の匂い立つ朝に
今日も一つだけ好きなものを食べる
理解することが好きなだけ、本当はもっと楽に生きたい
金槌と犬
雲は早い
風は冷たく
安寧はとおく
カレンダーの染みが気になってしょうがないな
お手軽な朝食
いまだ回る水音
時間だけが今日も降り注いでくる
もう行かなくちゃ
ピーという発信音が聞こえてきたら合図
どこかへ
どこかへ
220128