何の日を祝う

密林に立っている

忙しない

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指の隙間から水が漏れ

光が斜めに差し切れた

 

都市は花が置かれる

十分に換気がされた部屋で

去りゆく細々とした用事に

挨拶もままならない生活に

春は流れ 

緑が両目に落ちる

 

わずかな思考

縋るべきにもたれたいが

絶えない強欲によすがを奪われる

 

絶えない人々

音が絶えない


安心できるのは

もはや本を読んでいる時だけ

 

知恵よ

どうか最期まで 私の側に

 

220309

人類

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降下する鳥

一直線に

向かうは知らず 休むことも知らず

ついに日差しを貫いた


すり減るこの身の

1センチ 


長旅を続け

砂を運び

地理の上を汚し

とうとう言葉も見つからず


浅瀬の波が束になる

重なっては消え

溢れる思考は薄手のまま

ひとつとして一点には留まらず


限りないものを讃え

過ぎ去ったものを針の回転に変えて

そうしてなんとかやっている

けれどもこれらは限りある


両手で数えきれないものが増え

方々に伸びる遠方の土地で

誰も知らぬうちに埋め立てられる


もうじき観念を

もうじきにいたします

 


ふ と我に帰るとき

曖昧なものの正体に気づき

一人 恐れたところでもう遅い


写し出される回転の

古い思い出をしまい込んだ

きっと眠るときは

ここで終いに

春まで

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私と春はここまでです

あとはさようなら

 

苦虫を潰したようにしか笑えない

それでも大事にとっておきたいことがたくさんあって

大切なものを大切にするために走る

この街の天上はうらめしいほどに晴れ渡る

 

そうして両脚がほつれ

ぐらりと前に倒れ

そこで初めて 

地面の音を聞く


ごおん

ぐらん

どごん


吉日来たる日

忘れ物をしたことも忘れ

新幹線の窓から古巣を見つめる


会おうね

またね

さようなら

過ぎていく景色はどこも同じに見えるから

さみしくなって 私はあなたに電話をかける

 

 

220204

カレンダーの染みが気になってしょうがないな

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街路の匂い立つ朝に

今日も一つだけ好きなものを食べる

 

理解することが好きなだけ、本当はもっと楽に生きたい

 

金槌と犬

雲は早い

風は冷たく

安寧はとおく

 

カレンダーの染みが気になってしょうがないな

 

お手軽な朝食

いまだ回る水音

 

時間だけが今日も降り注いでくる

もう行かなくちゃ

ピーという発信音が聞こえてきたら合図

 

どこかへ

どこかへ

 

220128