2022-03-09 忙しない 指の隙間から水が漏れ 光が斜めに差し切れた 都市は花が置かれる 十分に換気がされた部屋で 去りゆく細々とした用事に 挨拶もままならない生活に 春は流れ 緑が両目に落ちる わずかな思考 縋るべきにもたれたいが 絶えない強欲によすがを奪われる 絶えない人々 音が絶えない 安心できるのは もはや本を読んでいる時だけ 知恵よ どうか最期まで 私の側に 220309