春まで
私と春はここまでです
あとはさようなら
苦虫を潰したようにしか笑えない
それでも大事にとっておきたいことがたくさんあって
大切なものを大切にするために走る
この街の天上はうらめしいほどに晴れ渡る
そうして両脚がほつれ
ぐらりと前に倒れ
そこで初めて
地面の音を聞く
ごおん
ぐらん
どごん
吉日来たる日
忘れ物をしたことも忘れ
新幹線の窓から古巣を見つめる
会おうね
またね
さようなら
過ぎていく景色はどこも同じに見えるから
さみしくなって 私はあなたに電話をかける
220204